言語処理のトップダウン処理とボトムダウン処理を紹介します。
トップダウン処理
トップダウン処理は、背景情報(文章のタイトルや挿絵、会話の状況など)から、聞いたり読んだりする文章の意味を予測・推測します。そして、その予測を基に検証を行い、正しいかどうかの照合(マッチング)を行います。
実際の単語や音よりも予測に頼るのがポイントです。トップダウン処理は言語処理の効率的な方法と考えられています。
トップダウン処理を用いた授業例
- 新聞記事の見出しや最初の文だけを読んで、全体の文章が何であるかを予測する
- 会話を聞いて、会話が行われている場所を予測する
トップダウン処理を用いたストラテジー
また、トップダウン処理のストラテジーも重要です。トップダウン処理のストラテジーとは、トップダウン処理で文章を読む方法です。
- 必要な情報だけを早く探す(スキャニング)
- 文章をざっと読み、全体の概要を把握する(スキミング)
- 予測しながら読む
- 大切な言葉や文章を見つけて、ほかの部分は読み飛ばす
- わからない単語は文脈から推測する
ボトムダウン処理
ボトムダウン処理は、部分的な情報(個々の音声や単語など)を積み重ねることで全体を理解します。
ボトムアップ処理は、文章を最初に理解する方法としては効率的ではないと考えられています。
ボトムダウン処理を用いた授業例
- 教師がいくつかの文章を読み上げ、学習者は出てきた単語を書き留める(教師は単語の区別を意識せず、自然な方法で話すことが非常に重要)
ボトムダウン処理を用いたストラテジー
- 新しい言葉を確認する
- 接続詞や指示語に注目して、文と文の関係をよく考えながら読む
- 細かい内容を、表や図に整理する
- わからない単語は辞書で調べながら読む
補償モデル
通常、母語話者は、無意識的にトップダウン処理とボトムダウン処理を適切に使い分けています。
これを補償モデルと言います。
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