誤用(グローバルエラー、ローカルエラー、言語間エラー、言語内エラー)について紹介します
ミステイクとエラー
第二言語の学習者の誤用には、ミステイク(間違い)とエラー(誤り)があります。
ミステイクは学習者の体調不良や不注意などが原因の誤用で、エラーは学習者が繰り返し間違える誤用です。
エラーの種類
1.グローバルエラー(global error)
グローバルエラー は、文の意味を正しく理解できず、コミュニケーションに支障が出る誤用です。
たとえば、「に」と「が」を誤り、「高橋さん に もらったお土産です」を「高橋さん が もらったお土産です」と話した場合、文の意味が正しく伝わらずコミュニケーションに支障が出ます。
2.ローカルエラー(local error)
ローカルエラー は、コミュニケーションに支障が出ない誤用です。
3.言語間エラー(interlingual error)
言語間エラー は、母語と学習する言語の相互干渉によって生じる誤用です。
たとえば、英語を学習する日本人の学生は、「夢を見る」を「see a dream」と表現することが多いです。これは日本語の「見る(see)」をそのまま英語に適用した間違いです。英語では「have a dream」と表現します。
4.言語内エラー(intralingual error)
言語内エラー は、目標言語の学習過程で起きる発達途上の誤り です。
言語内エラーには、過剰般化(過剰一般化) や 簡略化 があります。
過剰般化(過剰一般化)(overgeneralization)
過剰般化(過剰一般化)は、学習する言語のルールを過剰に適用してしまうことです。
たとえば、「面白いでした」は名詞やナ形容詞の過去形につける「でした」をイ形容詞(面白い)に過剰に適用して生じた誤用、「小さいの本」は、名詞と名詞を結びつける「の」をイ形容詞(小さい)に過剰に適用した誤用です。
簡略化(simplification)
簡略化は、言語規則を単純化することによって生じる誤用です。たとえば、「私 日本 行きます」。
化石化(fossilization)
誤用が改善されないまま残ってしまうことを 化石化(かせきか)と言います。
*ただし、「化石化」という言葉はネガティブなニュアンスが強いため、最近では「定着化」と呼ぶ人もいるそうです。
また、誤用が改善された後も、不安や緊張などによって再び出現する場合があります。これは 逆行(バックスライディング) と呼ばれ、エラー ではなく ミステイク です。
さらに、学習者が自信のない発音や語彙を避けることで、結果として誤用が現れない場合もあります。このような学習者のストラテジーは 回避 と呼びます。