日本語教育能力検定試験によく出題される指示詞をまとめました。
指示詞は、話し手のいる「地点」と「状況」をもとにしてものを指し示す機能を持つ語です。
特に、「こ、そ、あ」の使い分けがポイントです。
具体的に言うと、「これ」「それ」「あれ」ですね。
「こ、そ、あ」の用法は、「現場指示」と「文脈指示」があります。
- 現場指示:「現場」にあるものを指し示す用法です。
- 文脈指示:「話に出てきた要素」や「記憶にある要素」を指す示す用法です。
「現場指示」
現場指示には、人称区分説と距離区分説があります。
1.「人称区分説」
「コ」:話し手の近くにある物を指す
これは本です。
「ソ」:聞き手の近くにある物を指す
それは本です。
「ア」:話し手と聞き手のどちらからも遠くにある物を指す
あれは本です。
2.「距離区分説」
「コ」:近い距離にある物を指す
「ソ」:中くらいの距離にある物を指す
「ア」:遠い距離にある物を指す
「人称区分説」と「距離区分説」の区別とポイント
- 「コ」と「ア」では違いがない
- 「ソ」には、「相手の近くの要素を指す」ものと「相手の近くに限らず中程度の距離を指す」ものの2つがある
- 人称区分説を基礎とし、それにあてはまらない「ソ」もあるとするのが妥当
「文脈指示」
文脈指示の用法は以下です。
1.直前の話題中の要素(「この人・・・」など)
「山田さんという人がいるんだけど、この人はとても親切な人だ。」
2.これから話そうとしている要素(「こんな話・・・」など)
「(話の冒頭)実は山本さんについて、こんな話を聞いたんですが・・・」
3.「前の話題中の要素(「そこは・・・」など)」
「昨日、○○という場所に行きました。そこは昔ある事件が起きたところで・・・」
4.共有知識の要素(「あの件・・・」など)
共有知識の要素は、お互いが共有している知識を「あの」などと指し示すことです。
「あの件どうなった?」「ああ、あの件ですか。解決しました。」
5.記憶の中の要素(「あれ・・・」)
記憶の中の要素は、特定の記憶のことを「あれ」などと指す用法です。これはよく使う人も多いのではないでしょうか。
「あれはいつごろのことだったかなあ・・・」
他の文脈指示の特徴は以下です。
- 中立的な指示の場合は「ソ」を使う
- 近くに出てきた要素という意識のある場合は「コ」
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