日本語教育能力検定試験に出る「概念・機能シラバス」を紹介します。
概念・機能シラバス(Notional-Functional Syllabus)とは?
1971年、イギリスの言語学者ウイルキンス(D.A.Wilkins)は、欧州評議会からコミュニケーション力育成に効果のある言語教授法の開発を依頼されました。これが「概念・機能シラバス」です。
概念・機能シラバスは、学習者が言語を通して達成したいと期待する「意味」と「言語機能」に基づいて構成されています。
概念シラバス(Notional Syllabus)
概念シラバスは、学習者がコミュニケーションを行うために必要な意味や概念(時間、頻度、量、期間、位置など)と、それを表現するために必要な言語を学習するシラバスです。これらの意味が概念(notion)と呼ばれます。
機能シラバス(Functional Syllabus)
機能シラバスは、言語の機能(function)(質問をする、意見を言う、希望を示す、提案する、不平を言う、謝罪するなど)を表現するために必要な言語を学習するシラバスです。
このシラバスは「コミュニカティブ・アプローチ」にも影響を与えました。ちなみに、この反対が文法中心のシラバスです。
概念・機能シラバスのメリット
学習者のニーズに適している
このシラバスでは、学習者のニーズと学習者がコミュニケーションを通じて達成したいことが重視されます。
学習者のやる気が出やすい
このシラバスで勉強したことは、すぐに現実の場面で使用できます。そのため、学習者のやる気が出やすく、積極的に参加するため満足感も高くなります。
概念・機能シラバスが適している場面
短期コース
短期のコースは生徒のレベルが中級くらいのことが多く、学生は文法能力などある程度の基礎は身についていますが、それを実際の場面で適切に使用することはできません。
そのため、短期コースでネイティブの教師が現実の場面に適した言語の使用方法を教えるのが最適です。
私立学校の補習クラス
概念・機能シラバスは補足的な意味合いが強いこと、私立校は比較的自由に授業ができることで補修クラスに向いています。
参考記事:https://core.ac.uk/download/pdf/144441361.pdf / Functional Syllabus / Notional Functional Syllabus