ナチュラルメソッドとは、幼児の母語習得に着目した教授法です。
ナチュラルメソッドには、サイコロジカルメソッドとベルリッツメソッドがあります。
この2つを紹介します。
1.「サイコロジカルメソッド(psychological method)」
幼児が思考の順に言葉を使うことに着目した教授法です。
提唱者はグアン(François Gouin)です。グアンはフランスノルマンディー出身のフランス人で、外国語の教育を専門とする教育学者です。グアンについてのwikipedia(フランス語)は以下です。
名前の通り、心理学的な学習観に従っているのが特徴です。また「連想」を指導法に取り入れていて、「シリーズ・メソッド」とも呼ばれます。
日本では山口喜一郎が、戦前の台湾や朝鮮半島・中国大陸の一部で日本語教育に採用しました。
山口喜一郎氏をネットで調べたところ、以下のような人物です。
1872-1952 明治-昭和時代の日本語教育家。
明治5年4月17日生まれ。30年から台湾,朝鮮,満州(中国東北部)などで日本語をおしえる。日本語のみを使用する直接法で指導し,その理論を確立した。戦後は話し言葉教育の開拓につとめた。昭和27年2月29日死去。79歳。
ただ、この説明だけだとサイコロジカルメソッドが具体的にどのようなものか、少しイメージできにくいような気がします。
サイコロジカルメソッドをネットなどで調べてもあまり情報がありません。現在はあまり注目されていないのかもしれません。
「良い点」
サイコロジカルメソッドの良い点は、音声に触れる機会が多い点です。
「悪い点」
サイコロジカルメソッドの欠点は、教えることのできる範囲が制限されること、練習に動作を用いるため学習する人によっては抵抗を覚えること、などがあげられます。
2.「ベルリッツ・メソッド(Berlitz method)」
音声面の運用を重視した教授法です。絵カード、レアリア(実物のこと)、ジェスチャー、例文を利用して意味理解を促します。レッスン中は学習する言語のみを用います。
ベルリッツスクールの創設者としても有名な言語学者のチャールズ・ベルリッツによって提唱されました。
ちなみに、ベルリッツは超常現象研究家としても知られています。
ちなみに、ベルリッツ・スクールのウエブサイトではベルリッツ・メソッドが以下のように紹介されています。
ベルリッツ・メソッド®は、母国語を介さず、習得したい言語だけを用います。
その言語で言われたことをそのまま理解
その言語で反応できるようになる
独自メソッドで、130年以上にわたり世界中で使われています。
「良い点」
ベルリッツ・メソッドの良い点は、サイコロジカルメソッドと同様、音声に触れる機会が多い点です。
「悪い点」
ベルリッツ・メソッドの欠点としては、教師に一定の指導技術が求められること、学習者によっては理解が完全にならないことなどがあります。
まとめ
サイコロジカルメソッドとベルリッツ・メソッドのまとめです。
サイコロジカルメソッドまとめ
- 幼児が思考の順に言葉を使うことに着目した教授法
- 提唱者はグアン
- 「連想」を指導法に取り入れていて、「シリーズ・メソッド」とも呼ばれる
- 山口喜一郎が日本語教育に導入
- 良い点は、音声に触れる機会が多い
- 悪い点は、教える範囲が制限される、練習に動作を用いるため人によっては抵抗を覚える
ベルリッツ・メソッドまとめ
- ベルリッツによって提唱された教授法
- 音声面の運用を重視している
- 絵カード、レアリア(実物のこと)、ジェスチャー、例文を利用
- 母語習得の順序(「聞く」「話す」「読む」「書く」)で指導が行われる
- 訓練を受けたネイティブ・スピーカーが教師となる
- 良い点は、音声に触れる機会が多い
- 悪い点は、教師に一定の指導技術が求められること、学習者によっては理解が完全にならないこと
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