日本語教育試験のテキストに出てくる、「ジグソー練習」について紹介します。
試験にはあまり出ないかもしれませんが、授業で用いることなどができるかもしれません。
ジグソー練習とは
1970年代初期に、アメリカの社会心理学者エリオット・アロンソンが考案した、協同学習を促す学習方法です。また、個人で活動する部分もあります。
背景には、多様な人種が集うアメリカの学校のクラスがあります。クラスでは同じ人種同士でグループを作り、衝突がよく起こっていました。このグループの垣根を越えることが狙いとしてあったようです。
1つの課題をいくつかの断片に分割し、最終的にジグソーパズルのように1つの形にまとめます。
ジグソー練習の具体的な方法
- 1つの課題を、複数の項目に分割します。
- クラスでグループを複数作ります。グループのメンバーは、ジェンダーや国籍、人種など、できるだけ多様であることが望ましいです。
- 各グループの各生徒1人に1つの項目が割り当てられます。生徒同士で個々に割り当てられた項目を知らないようにします。
- 生徒は個々で自分の項目を学習し、グループ内で発表します。
- 次に、各生徒は、同じ項目の生徒同士でグループを作り、そのグループ内で再び発表を行います。
- 同じ項目グループの生徒たちは、お互いの情報を調整してまとめ、最終レポートを作成します。
- 最後に、最初のグループが再び集まり、各生徒からの発表を聞きます。また、ディスカッションや、クイズなどを行います。
課題の例としては、「織田信長を学ぶ」例があります。織田信長の単元を、いくつかの項目にわけます。
例えば、今回であれば「織田信長を学ぶ」という単元を「信長の行った戦い」
「信長の政策」、「信長と文化」というように、いくつかの項目に分けてし
まいます。グループのメンバーはそれぞれ1つの項目を担当します。例えば、同じグ
ループでも、太郎君は「信長が行った戦い」担当で、次郎君は「信長の政策」
担当という具合です。こうすると、太郎君は「信長が行った戦い」についてはよく知っていますが、
「信長の政策」についてはまったく知りません。一方で、次郎君や他のグル
ープのメンバーが「信長が行った戦い」について知りたかったら、太郎君に
教えてもらうしかありません。
まとめ
ジグソー練習は、多様な人種が集うアメリカの学校を背景にして生まれたというのが重要です。
また、個人で活動する部分と、グループで活動する部分の両方がある点も特徴的です。
日本語教育でどのように活用するのかあまり想像できませんが、うまく取り入れたら面白い授業ができるかもしれません。
参考記事:Jigsaw (teaching technique) / THE JIGSAW CLASSROOM / ジグソー法 / 第7回:知識が集まる。それはパズルのように。〜「ジグソーメソッド」