日本語の文は「客観的な部分(命題)」と「主観的な部分(モダリティ)」の2つの部分からなります。
その中で、話し手の主観(心的態度)を表すのがモダリティです。具体的には、「~らしい」などです。
たとえば、「明日は晴れるらしい」という文は、以下のように区別ができます。
命題 | モダリティ |
明日は晴れる | らしい |
意味的には、モダリティが命題を包み込む構造を持っています。
対事的モダリティと対人的モダリティ
モダリテイは、1.対事的モダリティ(事柄に対するもの)と、2.対人的モダリティ(他の人に対するもの)に分けられます。
1.対事的モダリティ
対事的モダリティは事柄に対するモダリティですが、さらに認識的モダリティと行為拘束的モダリティに分かれます。
認識的モダリティ(epistemic modality)
可能性や蓋然性(何かが起こりうる、あるいは、ある状態になりうる見込み)を示すモダリティです。具体的には、「かもしれない」「だろう」などです。
例:明日は雨が降るかもしれない(可能性)
例:彼は試験に失敗するだろう(蓋然性)
行為拘束的モダリティ(deontic modality)
義務や許可を示すモダリティです。具体的には、「なければならない」や「てもよい」などです。
例:車に乗る時はシートベルトをしなければならない(義務)
例:今日は学校に行かなくてもよい(許可)
2.対人的モダリティ
対人的モダリティは、聞き手に対するモダリティです。具体的には、「おいしいね」「おもしろいよ」などです。
例:あの店のケーキおいしいよね
例:あの映画面白いよ
モダリティの種類
確言 | 。 |
推量 | だろう、らしい、ようだ、そうだ、にちがいない、はずだ、かもしれない、まい |
説明 | のだ、わけだ |
当為 | べきだ、ほうがよい |
許可 | てもいい |
勧誘 | ましょう |
依頼 | てください、てくれ |
命令 | なさい |
禁止 | てはいけない |
願望 | たい、てほしい |
確認 | ね(それは大変だね) |
疑問 | か(その人は誰ですか) |
強調 | ぞ(行くぞ) |
モダリティとムードの違い
モダリティ以外に「ムード」という言葉を用いることもあります。
しかし、厳密に区別すると、両者は違います。ムードはモダリティの文法形式のことで、動詞の語系変化をさす用語です。
一方、モダリティは意味的な側面を持つ用語です。
まとめ
- 日本語の文は、命題(客観的な部分)とモダリティ(主観的な部分)の2つの部分からなる
- 話し手の主観(心的態度)を表すのがモダリティ
- モダリテイは、対事的モダリティ(事柄に対するもの)と対人的モダリティがある
- 対事的モダリティは、さらに認識的モダリティと行為拘束的モダリティにわかれる
- 認識的モダリティは、可能性や蓋然性(「かもしれない」「だろう」)を示す
- 行為拘束的モダリティは、義務や許可(「なければならない」「てもよい」)を示す
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