ポライトネス理論は、「人間関係を円滑にするための言語ストラテジー」です。
ブラウンとレビンソンが提案した理論です。
単に言葉遣いの丁寧さだけに限らず、相手の気持ちを重視した、もっと幅広い概念です。
そして、ポライトネス理論には、ポジティブフェイスとネガティブフェイスがあります。
この「フェイス」という概念は、社会学者のアービング・ゴフマンの「儀礼理論(facework)」などからヒントを得ています。
ポジティブフェイス
ポジティブフェイスは、他者から好かれたい、賞賛されたい、認められたい、という欲求のことです。
言い換えると、自尊心に近いものです。
そして、このポジティブフェイスは、他者から無視されると傷つけられてしまいます。
ポジティブ・ポライトネス
ポジティブフェイスを配慮するストラテジーをポジティブ・ポライトネスと言います。
例をいくつか紹介します。
相手の興味、ニーズ、要望に対応する
元気ないですね?何かお役に立てることはありませんか?
仲間内の言葉を使う
やあ、兄弟、お金を少し貸してくれないか?
相手に大げさに興味を見せる
ステキな髪型ですね。どこで切ったんですか?
冗談を言う
ネガティブフェイス
ネガティブフェイスは、他者から押し付けられたくない、強制されたくないという欲求です。
言い換えると、行動の自由です。
そのため、他者から何かを押し付けられると、ネガティブフェイスは侵害されます。
ネガティブ・ポライトネス
ネガティブフェイスを配慮するストラテジーをネガティブ・ポライトネスと言います。
例をいくつか紹介します。
直接的な言い回しを避けたり、質問をする
もしかしたら、彼がそれを取ったのかもしれない。
ご飯を渡してくれませんか?
押し付けや強制を最小限にする
そんなに面倒じゃないですよ、ほんの数ブロック先です。
一般的なルールや、受動的な言い方
訪問者は台帳にサインします。
ここで唾を吐くことは許されていません。
謝罪する
申し訳ないですが、お金を少し貸してもらえませんか。
まとめ
この2つのフェイスは、コミュニケーションにおける基本的な欲求です。
そのため、コミュニケーションをする人は、この2つのフェイスを配慮するように、ストラテジーを用いてお互いに協力する必要があります。
参考記事:Positive and negative face / ポライトネス理論と対人コミュニケーション研究