日本語の方言の分布にはいくつかのタイプがあるので、それを紹介します。
1.周圏分布型
中心部(近畿)から同心円状に分布したタイプです。中心部が新しい方言で、外側が古い方言です。
これは、柳田國男が自著『蝸牛考』で提唱し、命名しました。
柳田が日本語の「蝸牛(かぎゅう-カタツムリ)」を指す方言を調べたところ、近畿(中心)→中部→関東・四国→東北地方・九州→東北・九州と、同心円状に新しい方言から古い方言へと順番に分布していることがわかりました。
ちなみに、新しい・古いの基準は、昔の文化の中心地であった京都です。京都では古い順から、ナメクジ、ツブリ、カタツムリ、マイマイ、デデムシのように変化したそうです。
つまり、近畿で使われている方言(デデムシ)が最も新しく、関東・四国で使われている方言が中間(カタツムリ)、そして東北・九州で使われている方言(ナメクジ)が最も古いということです。
2.東西分布型
日本列島を東と西の2つに分けるように分布したタイプです。たとえば、「マクドナルド」の方言は、東京が「マック」で大阪が「マクド」です。
3.複雑分布型
分布に法則性が見られないものです。「メダカ」の例が有名で、全国で4600種類の言い方があるそうです。ほかに「お手玉」「おたまじゃくし」などもあります。