日本語教育能力検定試験によく出る「意味の拡張と比喩」のまとめです。
意味の拡張を引き起こすものの一つに、「比喩(ひゆ)」があります。
比喩には、「メタファー(隠喩)」、「メトニミー(換喩)」、「シネドクキー(提喩)」などがあります。
以下、それぞれを説明します。
「メタファー(隠喩(いんゆ))」
「具体的なわかりやすいもの」で「抽象的な分かりにくいもの」を表します。
「~のようだ」などの形は用いません。*「~のようだ」を用いるのは「直喩」です。
例:
- 「彼女は天使だ」
- 「雪の肌」
「メトニミー(換喩(かんゆ))」
「あるもの(A)」を「隣接関係にある(つながっている)別のもの(B)」で示すことです。
たとえば、「昨夜は鍋を食べた」と言いますが、普通鍋は直接食べられませんので、これは「昨夜は鍋の中身を食べた」という意味の換喩表現です。
例:
- 「昨夜は鍋を食べた。」=「昨夜は鍋(の中身)を食べた。」
- 「洗濯機が回る。」=「洗濯機(の中の洗濯層)が回る。」
- 「扇風機が回る。」=「扇風機(の羽根)が回る。」
- 「ショパンを聴く。」=「ショパン(の作った曲)を聴く。」
- 「霞ヶ関」=「日本の官庁」
- 「永田町」=「日本の国会」
- 「ハリウッド」=「アメリカの映画界」
- 「シリコンバレー」=「アメリカのIT業界」
「シネドクキ(提喩(ていゆ))」
上位概念で下位概念を指したり、下位概念で上位概念を指したりします。
たとえば、「花見に行く」という提喩の表現は、「花」という上位概念で、「桜」という下位概念を指しています。実際に見に行くのは「桜」ですが、「花」と表現しています。
例:
- 「花見に行く」(「花」という上位概念で、「桜」という下位概念を指す)
- 「人はパンのみに生くるにあらず」(「パン」という下位概念で、「食べ物」という上位概念を指す)
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