インターアクション仮説は、第二言語習得研究の一つで、アメリカの言語学者のロングが提案しました。
ロングは言語習得にとって、話者と対話者の意味交渉によるインターアクション(やりとり)が重要だと考えました。
インターアクション仮説とは
インターアクション仮説では、まず理解可能なインプットが第二言語の習得には必須だと考えます。そして、次にインプットは会話における「意味交渉」を通じて理解可能になるとします。
つまり、自分が理解可能なインプットをし、それから会話の相手とやりとり(意味交渉)をすることで、外国語能力が向上する(理解可能になる)という考え方です。
加えて、後の研究(テレサ・ピカ)で、教師と学生の意味交渉は関係が対等ではないため、第二言語の習得にはあまり効果的ではないと指摘されました(たとえば、生徒は教師に遠慮して明確化の要求を控えるなど)。そのため、対話者同士が対等な関係(学生同士など)のほうがより効果的であるとされました。
つまり、インターアクション仮説は、(1)理解可能なインプット(2)意味交渉(3)対話者の関係のバランス(と共有されたコミュニケーションの目標)の3つが重要なポイントです。
意味交渉とは?
特に重要となるのは、「意味交渉」の部分です。
意味交渉は、会話の相手とコミュニケーションがうまくいかなくなった場合に、お互いに通じるようにする、コミュニケーションの戦略(対話)のことです。
そして、意味交渉にはいくつか種類があります。
理解度チェック
「私が何を言っているのかわかりますか?」などと言い、相手が理解をしているか確認します。
明確化要求
「どういう意味ですか?」などと言い、相手の発言を明確にするよう要求します。
確認チェック
相手の発言を自分が正しく理解しているか確認します。
リキャスト
間違った文を正しい文に言い換えます。
インターアクション仮説の歴史的な流れ
スティーヴン・クラッシェンは、「モニターモデル」として知られる第二言語習得に関する5つの仮説を提案したことで知られています。
クラッシェンは、学習者が現在の理解レベルを少しだけ超えた理解可能なインプットを行うことで、第二言語習得が向上すると考えました。
このクラッシェンの考えを基礎にして、ロングがインターアクション仮説を開発しました。
まとめ
- 第二言語習得研究の一つで、アメリカの言語学者のロングが提案
- 話者と対話者の意味交渉によるインターアクション(やりとり)が重要
- 意味交渉は、理解度チェック、明確化要求、確認チェック、リキャスト
- 重要なポイントは、(1)理解可能なインプット(2)意味交渉(3)対話者の関係のバランス(と共有されたコミュニケーションの目標)