平成26年度日本語教育能力検定試験解説:試験Ⅰ

平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験問題」の試験Ⅰの解説です。

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問1

「調音点」の問題です。調音点とは口腔内で呼気を妨害する位置のことです。

  1. [ç](ひ・ひゃ) →硬口蓋
  2. [t] (たてと)→歯茎
  3. [dz](ざずぜぞ)→歯茎
  4. [ɾ](らるれろ)→歯茎
  5. [n] (なぬねの)→歯茎

[ç](ひ)だけ調音点が硬口蓋で、残りは全て歯茎なので、1が正解です。

問2

漢字の読み方の問題です。訓読みと音読みの組合せで一つだけ違うものを選びます。

  1. 手袋(て+ぶくろ)→訓読み+訓読み
  2. 献立(こん+だて)→音読み+訓読み(重箱読み)
  3. 縁組(えん+ぐみ)→音読み+訓読み(重箱読み)
  4. 菜箸(さい+ばし)→音読み+訓読み(重箱読み)
  5. 茶柱(ちゃ+ばしら)→音読み+訓読み(重箱読み)

手袋以外はすべて音読み+訓読みで、1だけ違うので、1が正解です。

ちなみに、音読み+訓読みは重箱読みと言います。逆に、訓読み+音読みは湯桶読みと言います。

漢字の読み方は、音読み、訓読み、重箱読み、湯桶読みの熟語判別ツール重箱読み辞典などが参考になりました。

このような漢字の音読み・訓読みを問う問題は時々出題されます。対策としては、主要な漢字を覚えておくか、音読みと訓読みの区別の仕方を覚えておくなどがあると思います。

たとえば、「音読み」は「最後が「ん」で終わる」ことが多いです。

問題を見ると、献立(こんだて)の「献(こん)」、縁組(えんぐみ)の「縁(えん)」は最後が「ん」で終わっているので、音読みだと推測できます。

問3

「並列表現の品詞」の問題です。1以外は動詞に接続できるので、1が正解です。

  1. であれ 踊り であれ(~であれ~であれ) →動詞に接続できない(歌う であれ踊る であれ ×)
  2. 検査 なり 尋問 なり (~なり~なり)→動詞に接続できる(検査する なり尋問する なり 〇)
  3. 観光 にしろ 買い物 にしろ(~にしろ~にしろ) →動詞に接続できる(観光する にしろ買い物する にしろ 〇)
  4. 驚き やら 喜び やら(~やら~やら) →動詞に接続できる(驚く やら喜ぶ やら 〇)
  5. 面談 とか 会議 とか ~とか~とか→動詞に接続できる(面談する とか会議する とか 〇)

正直難しい問題です。ただし、直感的に1以外の品詞は何となく共通点があることがわかります。(観光→観光する、検査→検査、面談→面談するにできるなど)。それで、動詞に関した問題なのかなという推測ができ、品詞を動詞にして並列表現が成り立つかどうかを試してみると、1だけ違うことがわかります。

問4

「逆接表現の意味」の問題です。これはかなり難しいです・・・。答えは4の「でも」です。

問5

「って」の用法の問題です。「って」は「主題」「逆接」「引用」の用法があります。

主題の「って」は「は」と、逆接の「って」は「ても」、引用の「って」は「という」とそれぞれ置き換え可能です。

  • 主題の「って」→「は」
  • 逆接の「って」→「ても」
  • 引用の「って」→「という」

これをふまえて問題を見ます。すると、2だけ「という」に置き換えられる引用の用法で、ほかは「は」に置き換えられる主題の用法です。そのため、答えは2です。

  1. ここ って~→ここ (主題)
  2. さっき着いた って~→さっき着いた という(引用)
  3. 田中さん って~→田中さん (主題)
  4. 明日 って~→明日 (主題)
  5. スマホ って~→スマホ (主題)

この「って」については、「いわゆる引用の助詞~ッテの機能と用法」という論文が参考になりました。

問6

複合動詞の前項と後項の自他の問題です。

複合動詞は2つの動詞が組み合わさった動詞で、この問題は、前の動詞と後ろの動詞が自動詞か他動詞かという問題です。

後ろに目的語を置ければ他動詞(~をの形)です。

  1. 追い出す→~を追う(他動詞)+~を出す(他動詞)
  2. 押し開ける→~を押す(他動詞)+~を開ける(他動詞)
  3. 盗み見る→~を盗む(他動詞)+~を見る(他動詞)
  4. 引き当てる→~を引く(他動詞)+~を当てる(他動詞)
  5. 立ち上げる→~が立つ(自動詞)+~を上げる(他動詞)

5の「立ち上げる」だけ自動詞+他動詞(「立つ(自動詞)+を上げる(他動詞)」)なので、5が正解です。

問7

「で」の用法の問題です。

「で」には「場所・範囲を表す」「材料・手段を表す」「動作の主体を表す」「原因を表す」「状態を表す」「期限を表す」用法があります。

  • 場所・範囲
  • 材料・手段
  • 動作の主体
  • 原因
  • 状態
  • 期限

これをふまえて問題を見て見ます。

  1. 小学校で運動会がある。→場所・範囲
  2. 会議が東京で開催される。→場所・範囲
  3. 事業は我が社で取り組んでいきます。→動作の主体
  4. 若者たちの間でブームになっている。→場所・範囲
  5. 遊泳禁止区域で泳いではいけません。→場所・範囲

3だけ動作の主体の意味があります。動作の主体を表す「で」は「が」に置き換えることができます。(事業は我が社 取り組んでいきます。)

4も「若者たち」なので動作の主体と間違えてしまいそうですが、この「で」は「が」と置き換えることができません(× 若者たちの間 ブームになっている。)し、若者たちが主体的にブームを起こしているというわけでもないので、範囲の意味だと思います。

問8

「ておく」の用法の問題です。

「ておく」には、ある行為のために前もって何かをする「準備」の意味と、そのままにしておく「放置」の意味の2つの意味があります。

  • 準備
  • 放置

これをふまえて選択肢を見てみます。

  1. 文句なんか、好きなだけ言わせておこう。→放置
  2. 昨日、打合せの連絡をしておいたよ。→準備
  3. インフルエンザの予防接種を受けておけばよかった。→準備
  4. 6時までに、薬を飲んでおかなければならない。→準備
  5. 今日中に、この仕事は終わらせておきましょう。

1だけは文句を言わせておく(そのままにしておく)「放置」の意味で、そのほかはすべて「準備」の意味だとわかります。そのため、1が正解です。

問9

「受け身」の問題です。

受け身には「直接受け身」と「間接受け身」があります。

直接受け身は直接的に何かをされることで、間接受け身は間接的に何かをされることです。

また、直接受け身は能動態に対応している、迷惑の意味がない(動詞に迷惑の意味がある場合は迷惑の意味となる)特徴があります。一方で、間接受け身は、能動態に対応していない、迷惑の意味があります。

  • 直接受け身=直接的に何かをされる、能動態に対応、迷惑の意味がない
  • 間接受け身=間接的に何かをされる、能動態に対応していない、迷惑の意味がある

この特徴をふまえて選択肢を見てみます。

  1. 先月入学式が行われた。→直接受け身
  2. 失敗して笑われた。→直接受け身
  3. この建物は10年前に建てられた。→直接受け身
  4. 仕事中に客に来られた。→間接受け身
  5. 仕事で上司に褒められた。→直接受け身

4の「仕事中に客に来られた」だけ間接的に何かをされており、迷惑の意味があります。

客は私に対して直接的に何かをしたわけではありませんが、間接的に迷惑を与えています。

問10

「ている」の用法についての問題です。

ているは継続を表します。この「ている」には複数の意味があります。

(1)動作や出来事が継続している、(2)ある結果の状態が継続している、(3)習慣、(4)経験、経歴です。

  1. 高校を卒業しているはずだよ。→経験、経歴 / 結果の状態の継続
  2. まだ汚れていますね。→結果の状態の継続
  3. 郵便受けに手紙が入っている。→結果の状態の継続
  4. 玄関の鍵が開いている。→結果の状態の継続
  5. 消防署に勤めています。→動作の継続

1と5で迷いますが、発話以前に起こった結果の状態の継続で考えると、5だけ違うと思われるので5が正解です。

問11

「前項と後項」の関係についての問題です。

間に適切な助詞を入れると、共通しているものと違いがわかります。

  1. ボール遊び→ボールで遊ぶ
  2. アイロンがけ→アイロンをかける
  3. 水洗い→水で洗う
  4. カード払い→カードで払う
  5. 炭火焼き→炭火で焼く

2以外は前項の名詞が「手段」(で)になっています。そのため、答えは2です。

問12

「~て」の用法の問題です。

ての用法は、「継起」「付帯状況」「原因・理由」があります。

継起は「前の動作に続いて後の動作が起こる」という意味です。

付帯は「AをしながらBをする」という意味です。

これをふまえて問題を見ます。

  1. スカートの裾を持って階段を上る→付帯状況
  2. 花束を抱えて挨拶する→付帯状況
  3. ポケットに手を入れて歩く→付帯状況
  4. 鞄を置いて部屋に入る→継起
  5. 好きな曲をかけて勉強する→付帯状況

4だけ継起で、ほかは付帯状況ということがわかります。そのため、4が正解です。

問13

「~ばいい」の用法です。

「~ばいい」には(1)「願望」と(2)「アドバイス、提案」の意味があります。

これをふまえて選択肢を見ます。

  1. ~みんな元気に育てばいいですね→願望
  2. ~真っすぐ行けばいいですよ→アドバイス
  3. ~佐藤さんに聞けばいいと思います→アドバイス
  4. ~難しく考えなければいいと思うなあ→アドバイス
  5. ~やめればいいじゃないですか→アドバイス

1だけ願望の意味で、残りはアドバイスの意味です。

これは特に用法を知らなくても、選択肢の日本語を読むと何となく違いがわかるような気もします。

問14

「によって」の用法です。によっての用法は、主に(1)原因・理由(2)手段・方法(3)受け身の動作主、(4)それぞれ・~次第、があります。

これをふまえて選択肢を見てみます。

  1. 彼は日々の努力 によって 成功に至っている。→原因・理由
  2. その企業の評判はその技術力の高さ によって 高まっている。→原因・理由
  3. 先週降った大雨 によって 作物に多大な被害が出てる。→原因・理由
  4. 子どもの数の減少 によって 多くの小学校が統合している。→原因・理由
  5. 街の安全は地域の人々の協力 によって 保たれている。→受け身の動作主

5だけ受け身の動作主なので、5が正解です。

 


平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験問題

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